急速な人口増加、経済成長、インフラの成熟、有利な投資政策が進んでいるアフリカ大陸は、経験豊富な多国籍企業（MNC）、投資家、起業家にとって魅力的な地域として輝きを増しています。
このたび、アフリカのクライアントソリューション担当アソシエイトディレクターであるアシュウィン・ティルヴァッセン（Ashwin Tirvassen）、「母なる大陸〜アフリカ」が事業の拡大や新しい消費者市場への参入、新進気鋭の人材の確保を目指す多国籍企業を魅了している理由を聞きました。
新興市場としてのアフリカをどのように捉えていますか？
20年前、アフリカは遠い存在だと考えられていました。 しかしアフリカは今ここにあり、豊富な資源と貴重な人材に恵まれたチャンスのある土地なのです。
中国、アメリカ、ヨーロッパ、インドを合わせたよりも大きなアフリカの規模は、理解するのが難しいほどです。 大陸は3,000万平方メートル（1173万平方マイル）以上の広さがあり、 54カ国 13億人以上の人々が1,500以上の言語を話しています。 また大陸は非常に若年層が多く、年齢の中央値は20歳です。
一方、国際的なビジネス社会では、アフリカはどのように受け止められているのでしょうか？
多くのビジネスパーソンは、アフリカの市場規模と可能性を過小評価しています。 また大陸の課題を過大評価する傾向もあります。
世界経済フォーラムなどのイベントで、”アフリカに10億ドル以上の年間売上高を持つ企業が何社ありますか？”という質問をすると、多くの人が50社前後と答えます。
実際、現在大陸には400社以上が進出しており、 これらの企業は平均して世界の同業他社よりも成長スピードが早く、収益性も高いです。
なぜ、企業はグローバルな事業展開の対象としてアフリカを検討する必要があるのでしょうか？
アフリカは大部分が未開発であるため、医療、都市化、インフラといった大きな課題を抱えています。 しかし、課題があれば、必ず解決策も必要です。
例えばアフリカの人口の多くは遠隔地の農村部に住んでおり、近代的なテクノロジーから切り離されています。 しかし、近年のモバイルネットワークとインターネットアクセスの拡大により、大陸の最も遠隔地にいる顧客でさえも、テクノロジー企業は徐々にリーチすることが可能になってきています。
未開拓の産業として、他に例を挙げることはできますか？
アグリビジネスに携わる人々には、さまざまなチャンスがあります。 食は誰にとっても基本的なニーズです。
アフリカは年間約400億ドルの食料を輸入していますが、 大陸の多くの地域は現地で栽培するのに最適な条件を備えています。
Business Standardによると、アフリカの食品産業は2020-21年に3.6%、2021-22年に3.9%の成長を記録しました。 この数字は今後数年で跳ね上がる可能性があります。
国際的な企業が知っておくべき不動産の知識とは？
商業施設や住宅地への需要はすでに急増しています。 2050年にはアフリカの都市に8億人以上の人々が移り住むと予想されています。
この大移動に対応するために大規模な開発が必要となり、不動産開発、都市インフラ、都市計画、建築など、より多くの機会が生まれます。
その他に「ホット」な業界はありますか？
McKinseyによると、アフリカはラテンアメリカに次いで世界で2番目に急成長している決済・銀行市場です。 またナイジェリア、南アフリカ、ケニアを中心に、500社以上の金融テクノロジー企業が進出しています。 世界銀行によると、サハラ以南のアフリカの人口の約66％が銀行口座を持たないということですが、この数字は経済の成熟に伴って必ず変化していきます。
またEコマースも急成長している分野です。 Africa Business Communitiesによると、Eコマース業界は2025年までに461億ドルの年間売上高を生み出すと予想されています。 Jumia、eBay、Konga、Kilimall は、アフリカの E コマース・プラットフォームが業界を押し上げている数少ないプラットフォーム例です。
なぜ、多くの企業がプロフェッショナル・サービスの事業拡大のためにアフリカに目を向けているのでしょうか？
アフリカは複数のタイムゾーンがあり、またヨーロッパ諸国と時間帯の親和性が高いなど、進出しようとする企業にとって魅力的な要素を備えています。
アフリカは発展途上国の拠点であるため、人件費や運営費も当然ながら世界の先進国より低価格です。 さらに物価が比較的安いことも特徴です。
アフリカでの募集・採用について、企業が驚くようなことはありますか？
アフリカの多くの人材は、学ぶことに前向きで、その機会を必要としています。
アフリカは世界で最も若く最も急速に人口が増加している大陸であり、2021年には年率2.45%の成長率を誇ります。 アフリカの教育システムの進歩に伴い、多くのグローバル企業が、IT、エンジニアリング、ビジネスマネジメント、金融などの主要分野で高いスキルを持つ人材に注目しています。
アフリカの労働力開発において、テクノロジーはどのような役割を担っているのでしょうか？
教育分野におけるテクノロジーの導入は、アフリカの人的資本開発にとってゲームチェンジャーとなりうるものです。
現在、ケニアに住むアフリカ人は、ハーバード・ビジネス・スクール、ケンブリッジ、オックスフォード、MITなどの授業をバーチャルで受講し、世界トップクラスのカリキュラムを利用することができます。 これらの卒業生は、スタンフォード大学、ハーバード大学、イェール大学の卒業生と競争することができるのです。 Google、Facebook、McKinsey、Goldman Sachsなどの企業が、彼らを雇うために列をなしています。
アフリカに進出する際の課題にはどのようなものがありますか？
世界的な認識と現場の現実の間にミスマッチがある一方で、地政学的な複雑さ、インフラの格差、相対的な経済変動などを考えると、アフリカがビジネスを行うのに容易な場所であるかのように装うことはできません。 複雑な労働規制、官僚的な遅延、熟練した人材データベースへの限られたアクセスなどを考慮すると、ビジネスを始めることが困難なことであるとすぐ気づくはずです。
EORはこれらのギャップを埋めるのに、どのように役立つのでしょうか？
アフリカの大きな経済的チャンスを生かすためには、企業は創造的なビジネスモデルとターゲット市場に特化した強固な戦略を確立する必要があります。
EORとの提携は、対象となる国でコンプライアンスに則ってスタッフを雇用する最も迅速で簡単な方法です。 既存の人事チームは国境を越えた給与処理から解放されるだけでなく、EORモデルによって現地法人の設立の必要性がなくなります。 企業は、すべてリスクをコントロールしながら市場の可能性を検証し、営業チームを配備し、コアビジネスの開発に集中することができます。
多くの企業は、EORソリューションとGoGlobalが最近開始した採用・雇用ソリューションを組み合わせて、技術、営業、顧客サービスなど、なかなか充足できない職務を充足することを選択しています。 これは、人材調達、入社手続き、福利厚生、そして退社手続きまでを含む、一気通貫の採用プロセスをカバーするものです。
アフリカへの進出を考えている企業へのアドバイスをお願いします。
アフリカの大規模で未開拓の市場やインフラの格差は、企業が正しいビジョンと戦略を持てば、ビジネスチャンスとなります。 しかし、戦略的な選択だけでは繁栄は望めません。
成功する企業は、自分たちの役割が単に利益を上げるだけでなく、国全体、さらには大陸全体の発展に寄与するものであることを理解しています。
アフリカでビジネスを行うことは、単なるビジネスではありません。人々の生活に触れ、社会を変え、歴史を作り、未来を築いていくことになるのです。