ラテンアメリカ諸国のユニークな福利厚生事情のご紹介

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ラテンアメリカ諸国(LATAM)は、急成長する経済発展の機会を求めて進出する投資家にとって、多様で魅力的な地域であると評価されています。 2022年6月に 国連貿易開発会議が発表した「世界投資報告書」によると、COVID-19(コロナ)の流行開始以来、ラテンアメリカ諸国への外国直接投資(FDI)は記録的な水準まで回復しているとのことです。 最近の伸びは主に M&A(合併・買収)の活況に大きく後押しされています。

雇用に関して言えば、ラテンアメリカ諸国の高いスキルを持った労働力は、多国籍企業(MNC)にとって貴重な存在です。 また、北米の企業にとっては、ヨーロッパ、アジア太平洋、アフリカに比べて時差が少ないため、チーム管理がしやすいというメリットもあります。

しかし、ラテンアメリカ諸国での雇用には課題がないわけではありません。

GoGlobalのクライアントソリューションディレクターであるAna Vizzotto(ブラジル在住)は、「ラテンアメリカ地域に進出しチームを作ることで企業は競争力を得ることができますが、この地域の不慣れなビジネス環境を乗り切る上で思わぬ障害に直面する可能性もあります」と述べています。 例えば、 ラテンアメリカ諸国での雇用は、福利厚生の管理に関するニュアンスが世界の他の地域とは異なります。

ここでは、ラテンアメリカでチームを作る際に企業が考慮すべき従業員福利厚生の主要な項目を紹介します。

労働法・労働慣行は労働者に有利に傾いています

ラテンアメリカ諸国の一部の国ではインフレが激しく、労働者がヨーロッパや北米で見られるような社会経済的な利益を必ずしも享受できないため、労働者をしっかりと保護する法律になっているとAnaは言います。 例えば、パンデミック前の米国の失業率は3〜3.5%台でしたが、ラテンアメリカ諸国の失業率はメキシコの約5%からコスタリカの約18%と大きな幅があります。

法的なこと以外にも、商習慣も労働者を保護し利益をもたらす傾向があります。 例えば、交通費、食事、食料品などの手当が一般的に含まれます。 民間医療も、補足的ではありますが、100%期待できるとAnaは言います。 現地の法律では、補足給付は現金ではなく、資金の入ったデビットタイプのカードで提供するよう指定されているのが普通です。 そうすることで、労働者は納税義務を免除されるのです。

補足手当は通常毎月支給され、Anaによると、労働者は内定をもらうときに総報酬の一部としてその概要を説明されることを期待するほど一般的になっているといいます。

ボーナスが一般的(通常はマスト)です

「ボーナス制度は従業員に報酬を与えることにより、業績を向上させるための素晴らしい方法です」とAnaは言います。 ただ米国や他の多くの国とは異なり、ラテンアメリカ諸国では通常、ボーナスの支払いが義務付けられています。

「アギナルド」と呼ばれる 13ヶ月目のボーナスは、この地域のほぼすべての国で義務付けられています。 ボーナスに関する規則は各国で独自に定められており、必要な支給額は通常15日分から30日分の給与分と幅があります。 さらに14ヶ月目のボーナスの支払を要求するラテンアメリカ諸国も多く存在しています。ラテンアメリカの国々も多く存在しています。

なお、ボーナスの支給スケジュールは国によって異なり、労働基準法に企業の収益性に応じた追加ボーナスの規定がある場合もあります。

コミッションは労働法で規定されています

多国籍企業は、ラテンアメリカ諸国の労働者への販売手数料の分配に留意する必要があります。

「国によっては、販売チームに月々のコミッションが支払われることもありますが、ラテンアメリカ諸国の多くでは、このやり方は必ずしも費用対効果が高いとは言えません」とAnaは言います。 「この地域のほとんどの国では、コミッションは労働法によって規定されています。コミッションは通常、雇用契約書に規定されていますが、適時に支払わなければならず、その計算方法について雇用主が詳細に説明する必要があります。またコミッションは従業員の基本給に加算され、雇用者と従業員の双方にとって課税対象となります。

このため、Anaによれば、ラテンアメリカ諸国では、コミッションの支払いはケースバイケースで慎重に検討されるべきであるといいます。

利益分配は必要な場合が多いです

多くのラテンアメリカ諸国の雇用法では、企業は従業員と利益を共有することが義務付けられています。 国によっては、会社の年間売上高の一定割合を労働者に支払うことが標準となっています。 例えば、メキシコの雇用主は、税引前所得の10%を従業員に支払わなければなりません。 ペルーでは雇用主が負担しなければならない利益の割合が産業によって決められています。

「利益配分は企業の財務状況に大きな影響を与えるものであり、順守しなければ重大な罰金や法的トラブル、評判の低下を招く可能性があります」とAnaは言います。 「したがって、ラテンアメリカ諸国での事業を開始する前に、すべての利益分配プログラムを慎重に計画し、専門家チームによって検討する必要があります。」

EOR(Employer of Record)は、コンプライアンスに準拠した効果的な福利厚生パッケージをカスタマイズできます

世界各地でグローバル人材マネジメントとEORソリューションを提供しているAnaは、「ラテンアメリカで人材を育成する企業は、他の地域の人材ではなかなか得られないメリットを享受できる」と語ります。

「ラテンアメリカで雇用する企業にとって、従業員の忠誠心や責任感の広さは大きな魅力です」とAna言います。 「ラテンアメリカ諸国の労働者は、適切な機会と福利厚生が提供されると、企業に長く勤め、転職することはほとんどありません。労働者のこのようなコミットメントは、競争の激しい今日の厳しい人材市場においては珍しいことなのです。」

企業は、ラテンアメリカの労働者の忠誠心を育む「 勝ち組」の福利厚生パッケージの会計処理と構築を支援する必要があるかもしれません。

「福利厚生に関する厳しい規制は、ラテンアメリカに進出する多国籍企業にとって、国境を越えた給与計算や労働力管理を頭痛の種になっています」 とAnaは言います。 エンプロイー・オブ・レコード(EOR)を通して人材を雇用することは、現地でチームを構築するための適切なソリューションであることが多いのです。

多国籍企業の従業員に対して、コンプライアンスや現地の商習慣に合った福利厚生をカスタマイズすることで、EORはラテンアメリカ諸国における企業の長期的な成功に貢献することができます。

EORを通じた国際的な雇用と福利厚生の管理に関する詳細は EORについてをご覧ください。 また、その他につきましてはお問い合わせまでご連絡ください。